パリに引っ越しました。

今hipなパリ10区の情報、日本人の就職活動の仕方、不動産事情など自分の興味に沿ってパリの情報を発信していきたいと思います。

ハッピーエンドの「その後」を描く『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』(原題:Casse-tête chinois)

日本にいる母の方が、パリにいる私より、フランスの時事ネタに強いのはなぜなんでしょう。我が家には、テレビもなく、もちろんラジオもなく、もちろん新聞も取っていないので、ぼーっとしていると何が起こっているか気づかないままです。

一方、60歳になろうという母は、毎日NHKワールドニュースで、仏France2やら、英BBC、米CNNでトップラインニュースくらいは押さえておくという意識の高さです。本当に頭が下がります。

 

時事アップデートでは追いつけない私ですが、私が圧倒的に有利な分野があります。フランス映画です。日本でフランス映画が公開される場合、権利関係、翻訳、PRなどに時間がかかるため、大抵1年くらいのタイムラグができます。

先日、母が「先週から、文化村でロマン・デュリスの映画やってるわよ」と教えてくれたときにも、「あ、それ知ってる」と珍しく返せるトピックだったのです。

そんなわけで、『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』(原題:Casse-tête chinois)が東京で公開されていると知りました。第一作『スパニッシュ・アパートメント』(原題:L'Auberge espagnol)、第二作『ロシアン・ドールズ』(原題:Les Poupées russes)に続く、クラピッシュ監督のシリーズ第三作です。

結論から言うと、この映画すごくいいんです。お近くの方は是非観に行ってみて下さい。

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前作までの流れを簡単に説明すると、パリの大学生の主人公グザヴィエは、バルセロナで一年間の留学生活を送ります。ヨーロッパ各地から集まった留学生7人とのカオスなシェア生活を綴った『スパニッシュ・アパートメント』。人生のモラトリアム期間も、留学生活を終えると、約束されたキャリアを選ぶか、自分の心の声に耳を傾けるか、という決断をしなくてはならない。カオスなシェア生活のごとく、ぐちゃぐちゃでもやもやして混沌とした青春を描きます。

 

第二作『ロシアン・ドールズ』は、キャリアを歩みだしたグザァビエが次にぶつかる壁、「愛」「パートナー」がテーマ。「自分が人生を共にするパートナーは、この人しかいない!」という確信をどう得るのだろう、と煮え切らない。マトリョーシカ人形さながら、これで最後か?と思っても、まだ入れ子になっていて、最後の一人に辿り着けない。アラサーのラブストーリー。

 

そして、第三作『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』は、いわば、ハッピーエンドの「その後」で、40歳になったグザヴィエを描いています。「結婚は人生のゴールじゃない、スタートだ」を如実に語ります。人生は思った通りには行かない。

事実婚のパートナーであるウェンディから別れを宣告され、子供ふたりもニューヨークに連れていくと、押し切られるグザヴィエ。

別れたパートナーと子供との関係の在り方、レズビアンカップルの子供問題、連れ子同士で新たな家族の構築、21世紀型家族のモデルがふんだんに盛り込まれています。そんなマンハッタンのチャイナタウンを舞台に、複雑に入組んだ人生を描く。

それを象徴する原題:Casse-tête chinois(米題:Chinese Puzzle)なのだが、邦題にはそのDNAが全く反映されていない。翻訳者の方も悩んだろうなぁと思いますが、イケてない。まぁ『チャイニーズ・パズル』では、まさかフランス人がマンハッタンを舞台にどたばたする話だとは、思わないでしょうしね、仕方ないか。でも、原題をわかって観ると、本編の中の会話がより一層理解できると思います。

 

私は、ちょうどニューヨークとパリを行き来する生活だったこともあり、私がぶつかってきた壁をよく捉えてるシリーズなので、飛行機の中で3回観てしまいました。