パリ10区の劇場 Théatre des Bouffes du Nord(ブッフ・デュ・ノール劇場)で砂漠のブルース『ティナリウェン』の一夜
パリ10区の最北端に位置する劇場。Théatre des Bouffes du Nord(ブッフ・デュ・ノール劇場)は、1876年にThéatre Mollière (モリエール劇場)の名前でスタートして以来、幾度となく名前を変え、閉鎖に追い込まれながらも、今日まで生き延びてきた。1993年には、歴史的建造物として登録されている。
老朽化した劇場は、安全上の基準を満たせずに、1952年に閉鎖。20年間放置されたのち、1974年、イギリス人の演出家・演劇プロデューサーのピーター・ブルック氏により再スタートを切る。現在は、メインストリームでもなければ、アングラってわけでもない、独自色を出して演劇・音楽を上演。
そんな雰囲気満点の劇場で、『Tinariwen avec Lalla Badi』(ティナリウェン)を堪能。サハラ砂漠の遊牧トゥワレグ人のバンドとして、一部には知られた存在らしい。何と日本語でウィキペディアが存在するので、本当に一部には知られているのだろう。私はもちろん初耳だ。よくよく読み込んだら、『砂漠のブルース』と名高く、2012年にはグラミー賞のベストワールドミュージックアルバム賞を受賞しているらしい。なるほど、有名そうだ。
そんな路上のミュージシャンとは一線を画すはずのステージなのだが、おそらく同胞のステージでテンションが上がってしまったのでしょう。勝手に踊り出す人たち続出。おそらく、これなかなかないパターン。劇場のカメラ担当が相当テンパっていました。
上演前には必ず言われる「撮影禁止のお願い」は、バンド関係者として席に座っているお仲間の方々が率先して撮影していたために、ぐずぐずに。
本来の指定席はなし崩しになり、目の前まで観客が詰めかけるほど大盛況のうちに終りました。このベルベル人系遊牧民族のトゥワレグ人は、フランス語圏であるアルジェリアやマリ(のサハラ砂漠)などを中心に分布しているので、きっとパリにもファンが多いのでしょう。
いつもと違う夜を過ごしたい時にチェックしてみるのがおすすめ。
住所
37 bis, bd de La Chapelle 75010