Paris 2014 + 3

2014年に「パリに引っ越しました」(旧ブログタイトル)。3年目の私的メモ。

いっそ競争から降りてしまえ、という声が聞こえる:「育休世代のジレンマ」を読んでいます

引き続き「育休世代のジレンマ」を読んでいる。私はもう東京にいないんだけれど、やはり関心が高いトピックではある。

 

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スーパーウーマンを見ると動悸息切れがする

「上澄み」であるスーパーウーマンの、「私のときは…」という体験談を押し付けることは、かえって、「そこまでできない」「そうまでしてやりたくない」と育休世代を萎えさせる。

世の中のワーキングマザーが全員スーパーウーマンなのではないかと、まだ経験していない世界に戦々恐々としている。というのも、私の周りには、働きながら子どもも育てるという話をリアルに聞く機会がほとんどなかったのだ。自分には遠いことに感じて、興味がなかったのかもしれない。

そんな受け身な私に入って来る情報といえば、「いや、こんなん無理でしょ」と言うしかない真性スーパーウーマンばかり。

20代前半に知ったのは、勝間和代さん。バリキャリ女子が、そうそう私勝ち組ね、ちゃんとトラックに乗れてるわと優越感に浸れる自己啓発本で知った。でも、この方って当時の最年少記録で公認会計士になり、大学在学中に第一子を出産し、会計士・トレーダー・経営コンサルタント・株アナリストを経て独立。どう考えても、普通のレベルじゃない。二度の離婚や子どもとの確執も、「むむむ」と思わされる。

割と最近だと、えん罪事件とその後出版された本で知った村木厚子さん。子どもがいても仕事を辞めなくていいという理由で国家公務員となり、同業の夫とともに二人三脚で二児を育て、単身赴任もこなし、…もう聞いただけで、心が折れそう、と。本当に素晴らしい人なんだとは思います。

あとは、『Lean in』のシェリル・サンダーバーグ女史とかね。飛行機で往復しながら、仕事と旦那と子どもをやりくりするって、、、まぁ本人が望んでるのでいいんだと思いますが。

 

身近にないロールモデル

東京で働いていたとき、なかなかなりたい人に出会えなかった。学生のときに、女子学生向けの就職ガイダンスで、「子どもは平日は実家に預けています」と聞いてのけぞり、その後も、女性管理職の「子どもには興味なかったんだよね」という言葉をどこまで信じていいかわからず。そういえば、産休から復帰しなかった女性がいたが、本当に「産後の体調が思わしくない」からだったのだろうか。海外オフィスから出張で来ている上司が、小学校にあがったばかりの子どもに電話をかけ、涙声になるのをPC越しに見て暗い気持ちになった。

ちきりんさんは、働きすぎて結婚・出産のタイミングを逃したのかなーといらぬ想像力を働かせてしまう(失礼)。パートナーや子どもがいない生活を楽しむ人はいつも一定割合いるのはわかるが、目の前には「私が思い描くのは、こうじゃないなー」という例ばかり積み重なっていく

学生時代には、ロールモデルとなってくれた母親も、自分が社会人になってみれば、物足りないことに気づく。半ばフリーランスのようなかたちで働いていた母は、週2回会社に出勤し、残りは在宅勤務。必要に応じて、出張や夜の会合で家を空けるというかたちだった。それでも、「兼業主婦」「分業体制」を敷く我が家が理想なのかは自信がなくなっていった。パートナーの「サポート役」には徹したくないという、競争意識が邪魔するのだ。

 

「いっそ競争から降りてしまえ」という声が聞こえる

私も学生のときの就職活動のときには、「男社会の業界に行って、わざわざ大変な思いをしたくない」とか「全国転勤アリでプライベートのコントロールが効かないなんて冗談じゃない」とか、いろいろ考えていた。考えた結果、「女性が働きやすい」かどうかはさておき、「男並みに働く女性がわんさかいる」ところにいった。そして、この本を読みながら、

ここには、「男なみ発想」で就職活動をしたにもかかわらず、それゆえに、従来女性がたどりやすいとされた「女ゆえ」の出産退職をしてしまうパラドクスが存在する。

ということに、ようやく気づいた。目から鱗だった。

意識の上で、女性の「指定席」ではプライドが許さない、もっと男性や子どもを産んでいない女性と同等に闘っていきたいと思う人ほど、指定席に押し込められるくらいなら、いっそ競争から降りてしまえ、と従来女性が辿りがちだった「退出」を選びやすい。

こういう将来やってくるかもしれない、リアルにありえると思った。こんな崖から飛び降りる気持ちにならないように、これからの自分の道を決めなくてはならない時期がきたんだなと、サンダーバーグ女史は反対しそうだけど、と思って一旦本を閉じた。

最初からこういうこと考えてた女子って賢いなぁ。

 

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