パリに引っ越しました。

今hipなパリ10区の情報、日本人の就職活動の仕方、不動産事情など自分の興味に沿ってパリの情報を発信していきたいと思います。

環境が求めるすがたに、定期的にノイズを忍び込ませる:『弱いつながり』を読んでいます

私は、この本の書評を読まず、副題の「検索ワードを探す旅」や、「強いネットと弱いリアル」という言葉に引きづられて購入。見事に裏切られた。「ネット初心者は、関連テーマでも読んでベンキョウしよう」と勝手に勘違いしたのだが、そういう話ではなかった。

 

 

あなたは、あなたの環境から予想されるパラメータの集合でしかない。(中略)環境から統計的に予測されるだけの人生なんてうんざりだと思っているはずです。

この矛盾を乗り越えるのに有効なのが、環境を意図的に変えることだという。それは、言い換えると、

グーグルが与えた検索ワードを意図的に裏切ること。環境が求めるすがたに、定期的にノイズを忍び込ませること。

ネットは人々の所属を固定化します。ネットに依存していると、自分の似姿ばかりに囲まれて、弱い絆を掴む機会を失い、人生を豊かにする機会を失う。対抗するには、リアルで予想外のことをするほかありません。

ここでいう「ネット」は、「住む街」「学校」「会社」なんでもいい。そうすると、誰でも一度や二度はこういう経験があると気づく。

社会人になるまでは、半ば強制的に環境がかわる。従って、「友人」や「インプット」(筆者のいう、「検索ワード」)もかわる。しかし、そうした、環境の変化の連続もいつの間にか、ひとつの「あるべきルート」が出来上がっていたりする。そして、それに抗いたいならば、「グーグルが与えた検索ワードを意図的に裏切」り、「リアルで予想外のことをするほかない」という。自分の経験を振り返ってみる。

 

ノイズ① 引っ越し

受動的だが、これが最初の環境を意図的に変えられた経験だろう。小学校時代の大半を過ごしたのは、都内の団地。廊下には成人向け雑誌が散乱。小5の母親が30歳前。同級生の母親がテレクラで駆け落ち。隣の中学校では、生徒がパンチパーマで学校に。

6年生の夏休みに引っ越した後も話は続く。中学生に入ってから私を訪ねてきた友だちからは、誰それがよく知らない男と同棲している、とか、中学生で妊娠した、とか、私の恐ろしく平和な中学校とは違った世界が広がっているようだった。

当時はそのような環境に疑問を持つことはなかったが、なぜ親が引っ越したか、今ならわかる。その環境で「統計的に考えられる成長」をして欲しくないと思ったのだろう。まず私の人生のルートはここで一回変わった。

 

ノイズ② 大学留年

次も、不可抗力のような気がする。中流家庭が集まるベッドタウンの環境と自分の学力を照らしあわせると、高校・大学と「順当な選択」をしたが、大学1年生で留年する。短絡的にもほどがあるが、「これで王道コースはなくなった」と思い込み、「じゃあ、もうストレートに就職することにこだわらなくていいや」となり、パリへ留学した。

一学年で約10%が留年し、留年しているくせに留学をせがむ親不孝者は、2〜3%だった。転んでもただで起きないというか、意に反した留年だったが、結果的には、留学を決心させてくれたという意味では、(意図的でなかったにせよ)ノイズとなった。留年しないに越したことはないが、そうしたら、レールで遅れを取るのが嫌で、留学しなかったように思う。あの時の留学がなければ、その次の留学もなく、その先の就職も違ったものになっていた。

 

ノイズ③ 留学

帰国した私は、普通のルートに戻ろうと就職活動をする。メガバンクから内定を得るも、その途端に、10年先まで見通せそうな気がした。10月にある内定式で、ますます袋小路に追いつめられる。「役員」役の行員を前に、内定者全員での「礼」の練習をさせられるのだ。中学校に戻ったような強烈な違和感。これは私が望む人生じゃないぞと思った。

直感的に、そして意図的に、「検索ワード」を変えるため、再び大学院留学を決めた。給付奨学金を得て、再びパリへ。

 

ノイズ④ 新卒就職

外国語学部出身で多いのは、その言語のプロ(通訳・翻訳、研究者)、メーカー(海外営業等)、旅行・旅客関係(旅行代理店、航空会社)、あとは、フランス語学科だと、ファッション(ブランド、雑誌編集)など。時間はかかるが、国際機関を目指す人もいる。私が入ったのは、外資系金融機関だった。そんなわけで、同期は珍しい人ばかり、理系出身で、かつ、金融工学ゼミ出身みたいな人が比較的多い。入ってからも「なんでお前はココにいるの?」と首を傾げられた。

 

ノイズ⑤ ニューヨーク移住

その後の進路を考えていた私は、社内異動、東京で他業界転職、海外に出ることなどで頭を悩ませたが、一番大きいジャンプに賭けた。ニューヨークに行った。1ヶ月で決めたので、また「どっからその話出てきたの?」となった。

お金だけでは計れない豊かさを楽しむフランス人的な物の見方は免疫があったが、資本主義と上昇志向で溢れかえったニューヨークの空気は新鮮だった。ああいう場所があることを知ったのは、なかなかの感動だった。

 

ノイズ⑥ パリ移住と無所属

なんてニューヨークは面白い!5年、いや10年いよう!と思っていた矢先。付き合って半年に満たない相手の突然の転職オファーによりパリへ移住。これは、物理的な移動としては環境は変わるが、「30歳になる女」としては、ある程度予想される・期待された行動だったのかもしれない。後押しをしてくれる女子がやけに多かった。

より「リアルで予想外」だったのは、無所属にもなったことだ。これが初めての経験で、これもまた「人生のノイズ」なのだろう。でなかったら、ブログは始めていなかったように思う。そして、この「ノイズ」が、私の新しい境地を開いてくれることは、経験的に知っている。悩んだ後の果実は甘い。

 

長かった…。振り返ってみると、自分は「ノイズ」に終始している、しすぎている…。

いまのあなたを深めていくには、強い絆が必要です。

これは、裏を返すとひとつの環境にどっぷり浸かるということなんだろう。今の私には、強い絆を与えてくれる、浸かるべき環境、そっちのほうが重要だ。そこでアクセルを踏まないといけないのだからね。