これは、要するに新たな出発の物語だ『スパニッシュ・アパートメント』(原題:L'Auberge espagnole)
物事を順序立てて行うということがなかなかできない。クラピッシュ監督&ロマン・デュリス主演の『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』(原題:Casse-tête chinois)について書いたが、前二作についても話したい衝動に駆られる。話が前後してしまうが、仕方ない。
ところで、主役グザヴィエ役のロマン・デュリスは日本で言う、妻夫木君みたいな感じだ。中肉中背で顔が濃い。青春映画でブレイクして、その後実力派俳優に成長した、ような気がする。私は映画に詳しくないので、実際のところはよくわからない。
ともかく、はじまりはこうだ。大学生のグザヴィエは、バルセロナに1年間の留学をする。 イタリア、ドイツ、デンマーク、イギリス、スペインから集まった留学生との、めちゃくちゃな共同生活。遠距離恋愛となった彼女マルティーヌ、バルセロナで出会う人妻のアン・ソフィ、レズビアンで親友となるイザベル。社会人になる前の僅かなモラトリアム期間を綴る。
支離滅裂で悩み多い青年。留学を終えて、輝かしいキャリアをまさに今踏み出そうとする25歳のグザヴィエ。
フランス語がわかる方には、ネタバレになってしまうが、私が好きなセリフがこちら。フランス語が分からない方は、映画を見る時のお楽しみに。
筋書きのない将来。どうなるかわからない未来への一歩。あえてレールを踏み外す決断をするときに、何度も見返してしまうのだ。あの手この手で語られるテーマだが、なぜか気持ちよく聴けて、実際このセリフでエネルギーを補給するために何回も見返している。
これは、新たな出発の物語なのです。