Paris 2014 + 3

2014年に「パリに引っ越しました」(旧ブログタイトル)。3年目の私的メモ。

フランス不動産市場の歩み(1970ー1990年代)

フランス不動産市場に関するかなり個人的なメモです。

 

1970〜1980:本格的な不動産市場の登場

マイホーム獲得競争や、金融機関が不動産開発に直接参入するなど、本格的な不動産市場を形成した時代。銀行傘下に不動産開発部門を抱えることによって、不動産にまつわる様々な資金ニーズを捉えていった。不動産開発サイドと金融サイドを押さえて、投資家へ包括的なサービスの提供を可能に。

公共事業を受注するようなBouyguesやVinciなどのような企業も、似たような戦略を取り始め、不動産建設を受注するだけでなく、自ら開発を計画する上流へと進出していくようになる。

1970年代前半は好景気のなか、HLM(低家賃住宅)やオフィス不動産は建設ラッシュであったものの、第一次オイルショック(1973年)をきっかけに、ずっと続くと思われた経済成長はバラ色の時代はあえなく終了。そのため、1970年代後半の不動産販売は、手数料のサービス、内装のグレードアップ、週末割引キャンペーンなどあの手この手を使った熾烈な販売合戦となった。

 

1980〜1990:不動産市場の確立とバブル到来

1979年には、第二次オイルショックもあり、フランスの景気が回復するのは1983年。

2回のオイルショックで、「景気後退期に対応できるようにしなければ!」と気づいた企業は、金融市場の発展により「株主価値」を意識するようになったことも後押しとなり、オフィス不動産は保有一辺倒から、賃貸も選択肢となる時代に(オフィス用の不動産市場が生まれたのって意外と最近なんですね〜。面白い!)

オフィス不動産の建設には少なくとも2年間、大規模なリノベーションで3年間。伸び続ける需要に供給が追いつかず、1984年から1990年にかけて、不動産価格は上昇の一途。政府は、①地方分権化(⇒地方都市での開発ニーズの喚起)、②オフィス不動産建設に係る手続きの簡素化、③銀行業の緩和(⇒ファイナンスをつけやすくする)、などを背景に、建設を推進していった。

1988年頃から、不動産価格の高騰から、与信基準は緩みまくり、100%融資が相次ぎ…、次第に実需から乖離した不動産バブルの様相へ